【特別コラム】集中連載⑪ 武蔵小杉タワマン「必見ウェブサイトの中身」|細野透(建築&住宅ジャーナリスト)
2020年2月8日 07時30分
no image
 前回の連載⑩は、「武蔵小杉に応援したくなるタワマンがある」、というテーマでした。今回の連載⑪は、「同タワマンの“必見ウェブサイトの中身”」というテーマです。  そのタワマンの名前は「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー」です。高さ203.5mで日本3位、地上59階・地下3階、794戸で、2009年に竣工しました。  主な取材ソースになるのは、そのパークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワーの「公式ウェブサイト」です。<https://www.midskytower.com>  私はこのウェブサイトを、「分譲マンションの管理組合が公開しているウェブサイト」の中でも、ダントツに優れた「ナンバーワン」的存在と判断しました。その根拠を具体的に説明していきましょう。    まずウェブサイトのトップページに、「ミッドスカイニュース」という欄があります。そして2019年10月13日付けの同欄に、「ミッドスカイタワーは50年安心です」という記事が掲載されています。  台風19号の大雨で多摩川が一気に増水。その影響で多摩川を流れる水が排水管を逆流して、武蔵小杉駅周辺の低地に噴き出てしまい、浸水被害を受けたタワマンがあったのは10月12日の夜です。  「ミッドスカイニュース」はこれを受けて、翌13日に「ミッドスカイタワーは50年安心です」というメッセージ的ニュースを掲載しました。報道機関にも負けないスピードです。 【■■】「パークシティ武蔵小杉」という名前のマンションは5件ある  なぜ、こんなに早かったのでしょうか。「ミッドスカイタワーは50年安心です」というニュースそのものを引用しましょう。なお筆者が、元の文章を分かりやすくするために、リライトしています。  ──某ブログニュースは、ミッドスカイタワーの「下水処理設備がやられた」、「住民に対して各住居でのトイレの使用を禁止した」、「各階のゴミステーションに設置した簡易トイレを使うよう通達が出た」と記しています。しかし、これは間違っています。  誤報の原因は、「パークシティ武蔵小杉」という名前のマンションが、5件あることだと思います。  当マンション「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー」に関する限り、「台風19号の影響を受けることなく、各住戸および共用部とも、設備は通常通り使用できていること」を、ここに明言します。  今このニュースブログをお読みの皆様は、「私どもが伝える事実」を信頼いただきたく存じます──。  大きな災害が発生すると、事実とは異なる「デマ」が流れることがあります。そのデマにいち早く対抗したのですから、ミッドスカイタワーの管理組合が適切に運営されていることの「立派な証明」になりました。  ところで、武蔵小杉に立つ他のタワマンは、どのように対応したのでしょうか。それを調べるために、各ウェブサイトの検証を試みたのですが、外部に公開している「ウェブサイト」を見つけることができませんでした。 【■■】ウェブサイトにはコンテンツが「てんこ盛り」  私は建築&住宅ジャーナリストという仕事柄、ミッドスカイタワーの「ウェブサイト」の出来栄えがいいことを、前から知っていました。  まずトップページのデザインには、かなりのインパクトがあります。さらに「50年安心タワー、パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー」というキャッチコピーも添えられています。  マンションデベロッパーが分譲マンションを販売する時、その公式ウェブサイトに「キャッチコピーを添える」のは、いわば常識です。  それに対して、マンション管理組合が運営する「公式ウェブサイト」は、まずその存在自体が珍しいのです。したがって、管理組合がキャッチコピーを考案すること自体が、「前代未聞」に近いのではないでしょうか。  ミッドスカイタワーの「ウェブサイト」には、コンテンツが「てんこ盛り」状態です。  「50年安心計画」「財務情報」「防災インフラ」  「コミュニティ活動」「住み換えをお考えの方へ」  「共用施設」「設備・仕様」「ニュースリリース」  「アクセス」「駐車場外部貸しについて」  「ニュース一覧」「お問い合わせ」   驚くことに、どのコンテンツもビジュアルで、実に魅力的にできています。 【■■】台風19号直後の「ミッドスカイニュース」  10月12日の台風19号の後、「ミッドスカイニュース」には、一連のニュースが掲載されました。  ◇10月13日「ミッドスカイタワーは50年安心です(前述)」  ◇10月14日「ミッドスカイタワー強靭化に向けて」  ──台風19号は、武蔵小杉に冠水をもたらし、一時的に公道が通行不可な状態になりました。台風通過2日後の14日現在、街路も元に戻っています。この間、ミッドスカイタワーでは停電もなく、館内設備や施設は正常に稼働し続け、住民も普通に暮らしています──。  ◇11月24日「第5回ミッドスカイタワー防災デーの報告」  ──11月17日に第5回ミッドスカイタワー防災デーが開催されました。ミッドスカイタワーでは約1年半に1回の割合で防災デーを設けて、非常時の訓練と災害対策の必要性の意識づけを目的としたイベントを行っています。  まずは毎回行っている、安否確認訓練です。地震発生のアナウンスの後、各階エレベータホールに集まり、各住戸の安否確認をします。無事の場合は住戸に「無事です」のマグネットを玄関ドアに貼っていただき、シールを貼っている住戸とそうでない住戸を確認する手順です。確認結果は、携帯等が通じないことを想定して、無線機にて防災センターに報告します──。  何か災害があった後、こういうニュースに接すると、頼もしい気持ちになりますね。 【■■】「ミッドスカイニュース」は2013年6月にスタート  パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワーが竣工したのは2009年でした。それから約4年後の2013年6月29日に「ミッドスカイニュース」第1号が掲載され、続く8月2日に第2号が続きました。  ◆第1号──6月28日 七夕イベントを開催  ◆第2号──8月2日 週刊東洋経済に掲載されました   『週刊東洋経済』8月10日号は「マンション大規模修繕」特集でした。そして、「ミッドスカイタワーは50年間にわたる長期修繕計画を立て、修繕積立金を約2.4倍に引き上げることになった」と取り上げられました。  2013年から2019年までの、「ミッドスカイニュース」の本数は以下の通りです。  2013年─16本   2014年─130本  2015年─215本  2016年─271本  2017年─309本  2018年─361本  2019年─399本  このように本数は年々増えて、2019年には「1日1本のペース」を超えてしまいました。 【■■】階段駆け上がり大会  色々な「ミッドスカイニュース」の中で面白かったのは、パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワーが、2015年3月に、「日本警察消防スポーツ連盟」が毎年開いている「階段駆け上がり大会」の会場になったことです。  これは消防士などが完全装備で、59階・999段・高さ約200メートルの階段を駆け上がる競争です。  優勝したのは静岡市消防局・千代田消防署の望月将悟さんで7分37秒という記録でした。ちなみに、地元の川崎消防署から参加した原子武紀さんは、9分7秒で23位でした。  原子さんは大会に備えて、勤務後ほぼ毎日、600段以上を10キロの重りを背負って、ミッドスカイタワーの階段を駆け上がったそうです。 【■■】専門家向けの「ニュースリリース」も  さて、パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワーの「ウェブサイト」には、すでに説明した「ミッドスカイニュース」に加えて、「ニュースリリース」というコーナーもあります。   ◇2017年2月28日   パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー管理組合は法人化しました。  ◇2017年3月10日   マンションの商標登録を出願しました。  ◇2017年10月3日   ミッドスカイタワーは商標登録完了しました。  (注)商標登録されると、「ミッドスカイタワー(Mid Sky Tower)」という名称や、ロゴのデザインなどが、商標権で保護されることになります。  ◇2017年10月27日   ミッドスカイタワーでは民泊は厳禁です。  ◇2017年12月3日   ミッドスカイタワー公式line開始しました!  ◇2018年11月1日   ミッドスカイタワーの制振装置はOK(KYB問題に関して)  ◇2019年5月12日   ミッドスカイタワーはフロントランナーです。  ◇2019年10月13日   ミッドスカイタワーは50年安心です。  この「ニュースリリース」は一般向けというよりも、分譲マンションに携わる専門家向けの感じです。  最後にもう一度、URLを記しておきます。 <https://www.midskytower.com> 細野 透(ほその・とおる) 建築&住宅ジャ─ナリスト。  建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。