【特別コラム】新築タワマンで「坪単価の階層別平準化」が進行|細野透(建築&住宅ジャーナリスト)
2019年1月23日 08時00分
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 東京カンテイが発行したプレスリリースによると、2015年〜20年に東京23区に竣工する、50階以上の分譲タワーマンションで、「価格(平均坪単価)の階層別平準化」が進行しています。 <https://www.kantei.ne.jp/report/97TM_SUR.pdf>  上の図は、プレスリリースに掲載された数値を基にして、私自身が描きました。  「9階以下、10階〜19階、20階〜29階、30階〜39階、40階〜49階、50階以上」という階層別に、「新築分譲時の平均坪単価」を棒グラフと折れ線グラフにしています。 【■■階層が上がるにつれて、平均では約3pずつ上昇】  上の図は小さ過ぎるかもしれませんので、以下に数値を表記しました。  9階以下   ─平均坪単価310万円、100  10階〜19階─平均坪単価319万円、102.9(プラス2.9)  20階〜29階─平均坪単価325万円、105.0(プラス2.1)  30階〜39階─平均坪単価337万円、108.7(プラス3.7)  40階〜49階─平均坪単価349万円、112.6(プラス3.9)  50階以上  ─平均坪単価385万円、124.2(プラス11.6)  これを要約します。 (A)9階以下の平均坪単価を100とすると、10階〜19階、20階〜29階、30階〜39階、40階〜49階と階層が上がるにつれて、平均では約3ポイント(point)ずつ上昇し、合計では12.6ポイント上昇する。  すなわち、「分譲価格(平均坪単価)の階層別平準化」という事実が観察されます。 (B)40階〜49階から50階以上に移行するときには、11.6ポイント上昇する。  すなわち、最高階層だけにはプレミアムが付いた形になるため、折れ線グラフを見ると一気に勾配が急になっていることが分かります。  なお、ここでは「2015年〜20年の竣工物件」だけの図を掲載しています。それはこの「特別コラム欄」には、図を1点だけしか掲載できないという制限があるためです。 【■■時代が進むにつれて階層別価格差が減少】  掲載できなかった他の4点の図、すなわち「1995年〜99年の竣工物件」「2000年〜04年の竣工物件」「2005年〜09年の竣工物件」「2010年〜14年の竣工物件」に関しては、全体として次のような傾向になっています。 (1)「1995年〜99年竣工物件の平均坪単価」    9階以下を100とすると、50階以上は185.2 (2)「2000年〜04年竣工物件の平均坪単価」    同上、50階以上は174.1 (3)「2005年〜04年竣工物件の平均坪単価」    同上、50階以上は138.1 (4)「2010年〜14年竣工物件の平均坪単価」    同上、50階以上は136.3 (5)「2015年〜20年竣工物件の平均坪単価」    同上、50階以上は124.2  時代が進むにつれて、50階以上の平均坪単価の割合が、「185.2から124.2へと低下」していることが分かります。すなわち、価格差が少なくなっているのです。  東京カンテイはこれを、「30階以下に所在する住戸の希少性が低下し、建築コストが上昇し、価格設定のノウハウが蓄積されたため」と分析しています。 【※編集部注】  マーキュリー社の会員制ウェブサイト「リアナビ」には、「スペシャリストの眼」というコラムがあります。 <https://v3.realnetnavi.jp/rnavi/login.jsp>  同コラムのうち、細野透さんが執筆する「斜め45度の視点」という欄に、昨年12月に掲載された、第303回──新築タワーマンション「価格の法則」を発見(前編)、第304回──成熟の域に達した「新築タワーマンションの価格設定」(後編)に、さらに詳しい情報が記されています。 ------------------------------------------------------------------------------------------------ 細野 透(ほその・とおる) 建築&住宅ジャ─ナリスト。建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。 東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。 著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、 『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、 『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。