公共空間の3方よし|ニッセイ基礎研究所
2019年4月11日 14時22分
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通勤途中に横切る公園内にある野球場は、休日になると少年野球などの試合が行われることが多く、選手たちはもちろん、チーム関係者や保護者などの応援で賑わう。 公式戦ともなると、小学生といえども真剣勝負が繰り広げられ、時にはドラマが生まれる。最終回までリードを守っていたエースが、土壇場で逆転サヨナラタイムリーヒットを許してしまい、ゲームセット。野球場全体を歓声とため息が覆い、エースは投げ続けた腕で涙を拭う。といったシーンを見かけたりもする。 そんな野球の面白さを知っている人は筆者の他にもいるらしく、試合が始まると、いつのまにか足を止めてネット越しに観戦する人たちが増えている。声を出して応援したりはしないが、めいめい試合の行方を楽しんでいる様子が伝わってくる。 こうした光景を遠目に眺めるのも良いものである。一生懸命プレーする球児と、それを観戦する人々が集うことで、普段はさほど人通りが多くない地域に、いっとき、ちょっとした賑わいをもたらす。その平和な光景に触れて、なんとなく安堵感のような感覚を覚えるからだ。 野球場に限らず、外に開かれた空間での営みは、このような関係を作り出す。空間を利用して好きなことをする人、それを見学する人、さらにその光景を眺める人という関係だ。この関係の面白いところは、利用者が好きなことをすることで、見学する人を楽しませ、さらにその光景を眺めた人の気持ちをも和ませていることだ。 つまり、好きなことをする人よし、見学する人よし、眺める人よしの3方よしの関係と言える。3方よしの関係が成立するということは、その空間を直接利用する人ばかりでなく、利用しない人にとっても、空間があることの効用、ありがたみがあるということである。 先程の野球場で言えば、周りに暮らす、野球のことはよく知らない地域住民も、眺める人として、野球場があることを好ましく思うということだ。3方の最後は地域よしと読み替えることもできる。 そう考えると3方よしの関係は、地域に愛される場所であることの必要な条件と言えるのではないか。その空間の管理運営者にとって、これほど望ましいことはないだろう。特に公共施設には重要だと思うのである。 https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=61163?site=nli